医者から1人700万円を合法的に稼ぐ知能商法公開
ちょっと古い話ではあるが、昭和56年の新聞に、興味深い記事が載っていたので紹介したい。要は頭の使い方一つでお金を稼ぐことができるという話。時代の枠を超えて通用するアイデアである。
合法的に稼ぐ知能商法
「悪医は廃業に! 名医は繁栄に!」の名文句で、あがり9億1千万円
毎日新聞/S56年12月2日(社会面)より
「悪医は廃業に、名医は緊栄に!」なる名文句で、「日本名医会」という株式会社をつくった男がいる、この人は、全国医師名簿に載っている各医師に、1口700万円で"名医認定証"を発行するという内容のDMを送り、患者とのトラブルが起これば1億2千万円まで保障するという新商売、「約1ヶ月で申し込みは既に130件」(同社)。本家本元の日本医師会は、「コメントする気にもならない」とまったく無視しているが、医者の世界に切り込んできた伏兵に、苦々しさを隠し切れない。
…以上が記事の一部であるが、この株式会社日本名医会が、全国の開業医に送付したDMには、ご丁寧にも「名医の反対用語が悪医と取られても、日本名医会の責任ではありません」という説明まで記されていた。
これは逆の見方をすれば「日本名医会に加盟しなけれぱあなたには悪医という評判が立ちますよ」と、開業医の心理を突いた見事な殺し文句である。
そうした心理をえぐる上手なコピーも、商売上のテクニックとして大いに参考になる。このアイディアを生み出した頭脳もたいしたものだが、それ以上に驚いたことは、1人700万円もの大金を払って「名医認定証」を発行してもらった医者の数だ。
1人や2人ならわかるが、なんと130人もいたという事実である。
あなたなら、医者のモラルをどう考えるだろうか? こういったことで、いざというときに信頼しなければならない医者のイメージを壊したくないものだ。
日本名医会は、医師会名簿を頼りに、日本全国の医師にDMを送っただけで、実に9億1千万円もの大金を合法的にせしめた計算になる。
このアイデアはいつでも真似できる。記事の古さは関係ない。業界の事情をよく研究し、心理を読み取って逆利用した、典型的な知能商法と言えるだろう。